「嘘にもさうして志は忘れないなんて言つて下さる程なら、やつぱり約束通り私を引取つて下さいな。雅さんがああ云ふ災難にお遭なので、それが為に縁を切る意なら、私は、雅さん、……一年が間……塩断なんぞ為はしませんわ」 彼は自らその苦節を憶ひて泣きぬ。 「雅さんが自分に悪い事を為てあんな訳に成つたのぢやなし、高利貸の奴に瞞されて無実の罪に陥ちたのは、雅さんの災難だと、私は倶共に悔し……悔し……悔いとは思つてゐても、それで雅さんの躯に疵が附いたから、一処になるのは迷惑だなんと何時私が思つて! 雅さん、私はそんな女ぢやありません、そんな女ぢや……ない!」 この心を知らずや、と情極りて彼の悶え慨くが手に取る如き隣には、貫一が内俯に頭を擦付けて、巻莨の消えしを※げたるままに横はれるなり。 「雅さんは私をそんな女だとお思ひのは、貴方がお留守中の私の事を御存じないからですよ。私は三月の余も疾つて……そんな事も雅さんは知つてお在ぢやないのでせう。それは、阿父さんや阿母さんは雅さんのところへ上げる気は無いにしても、私は私の了簡で、若しああ云ふ事が有つたので雅さんの肩身が狭くなるやうなら、私は猶更雅さんのところへ適かずにはゐられない。さうして私も雅さんと一処に肩身が狭くなりたいのですから。さうでなけりや、子供の内からあんなに可愛がつて下すつた雅さんの尊母さんに私は済まない。風俗アルバイト 求人情報 枯れ木に花
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