朝食がすむと、彼は父と二人で向い合つているのが妙にいらだたしく、そのまゝ部屋へ引つ込もうとすると、父が、 「おい、等志、まあ、もうちつと話をしていかんか。わしひとりじや、考えのまとまらんことが、いろいろあるから……」  と、言つて、呼び止めた。 「なあ、今の真喜の縁談だが、いずれ、当人の意向もたゞし、周囲とも相談して、なにぶんの返事をすると、こんな挨拶をしておいたんだが、お前には南条から、なんにもその話はなかつたか?」 「それや、ありました。自分で、ちやんと順序を踏んで申込むと言つてました。あいつ、あれで、なかなか、形式家なんです」 「形式はそれでよろしいが、真喜があの調子じや、まるで話にならんじやないか」 「そいつは、僕の責任じやありませんよ。真喜が南条を知らないように、南条もおそらく、真喜のことがわかつてないんだと思います。箱入娘ぐらいに思つてるのかも知れませんよ」 「じや、どうすればいゝか、だ」 「まだその時期じやないつていう返事をしたらいゝでしよう」 「ちよつと、惜しい気もするな」 「お父さんにこんなこと言うのは無理でしようが、僕の考えだけを言うとですよ、大体、両親が子供の縁談を多少、急ぐ傾向があるのは、どうかと思うんです。結局、娘の場合なんか、それは、却つて、不幸の原因になることが多いんじやないでしようか。娘を嫁にやつて、ほつとするのは大間違いで、それより、自分で相手を選ぶ能力と、男によつかゝらないでも、生活していける下地を作つてやるのが、親の責任だという考え方が、僕は、健全だと思うんです」 国立市 リフォーム

   


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