こういうのりの茶漬けは誰しもやっていることだが、これから私が話そうとするのは、もっと手軽なのりの茶漬けである。 それは、いいのりをうまく焼いたものか、焼きのりのうんと上等のを、熱い御飯の上に揉みかけ、その上に醤油をたらし、適当にわさびを入れて、茶を注げばよろしい。熱い御飯をのりで巻いて食べる人はたくさんいるが、焼いたのりを茶漬けにする人はあまり見受けぬ。 一椀についてのりの分量は、せいぜい一枚か一枚半を使う。これは朝によく、酒の後によく、くどいものを食った後には、ことさらにいい。多忙の時の美食としても効果がある。 こんな茶漬けをよろこぶ者は、通人中の通人に属するだろう。茶の代りに、かつおぶしと昆布のだしをかけて食べるのもよい。これらは副菜の漬けものを一切要しない。ぜいたくな泊り客でもあった際には、朝食に出すことである。もちろん、上等の煎茶を使用するにしくはない。 のりの話が出たついでに、のりの焼き方について、ひと言申し添えておこう。初台 歯科
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