奥造 あゝおつしやるんだから、お前からひとつ……。 汲子 みなさんがゐらしつちや、あたくし、お話できませんわ。こゝで伺へることは、伺はなくつてもいゝことばかりですわ。 奥造 それぢや、どうでせう、われわれは、しばらく……。 曾根 さやうでございますね。規則といたしましては、初対面の時、お二人きりにおさせ申すことはできませんのですけれど……。 幕太郎 それはどういふわけですか。 曾根 いろいろ弊害がございますもんですから……。 幕太郎 そんなら、かまはないぢやありませんか。この方だけにゐていたゞいて、二人の附添人は、下へ降りてゝ貰ひませう。 奥造 さうしますかな。 亜介 さうしませうか。(小声で)おい大丈夫か? 幕太郎 (そつと額の汗を拭ふ) 奥造と亜介は、席を起ち、外に出る。 曾根 やかましいことを申すやうですけれど、あしからず……。 幕太郎 かまひません。その代り、僕はあなたがゐらつしやらないもんと思つてますから……。 汲子 あたくし、一人で参るつもりでゐたんですけれど、父がどうしても一緒に附いて行くつて申しますもんですから。オンライン タイ語 レッスン
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