「結構ですわ。そんなこと、ちつとも、男の方の欠点ぢやありませんわ。あたくしも、仲人さんはたしか二十四とおつしやつたと思ひますけれど、実は二十六ですの。それに、あたくしこそ、きつと家庭で片寄つた教育を受けてゐると思ひますわ。たゞ、父が、軍人のところへだけはお嫁にやりたくないと申してをりました。母も、それに正面から賛成する代りに、かう申してをりました――お父さんのやうな軍人がほかにゐればだけれどねえ」 「申分のないご家庭のやうに思はれます。僕はきつと仕合せだと信じてゐます」 「あたくしは、結婚の幸福といふものは、二人でつくり出すものだと思ひますの。いけません?」 「約束されてゐる限りは、です。僕が言ふのは、その希望がもう既に大きいといふことなんです」 「言葉では、なんにも言へませんわ。あなたのおそばで一生を送るために、このことだけは守つてほしいとお思ひになること、なんか、ございません、それを、おつしやつて……。どんなことでも、きつと守りますわ」 「考へておきませう。僕にも、さういふ註文があれば出してください。実行できることなら、やつてみませう」 エアロバイク通販ショップ
|