大蛇、河童、ろくろ首、けっかい等は珍しからず。変ったものでは、鎧武者が本馬にのって、柵の中の土間の上で三浦の大介だとか、何だとかいって立廻りをしている芝居があったが私は荷作り場の番頭さんの背中におぶさって、番頭さんが感心してみているのと一緒になって感心したのを覚えている。明治三十何年かの有名な御茶の水のおこの殺しが、じき見世物になり、おこのの血だらけの顔を表看板のかわりに幕にかいて張り出してあるのをみて、ひどくおびえ顔を掩うて逃げたこともあった。見世物の客を呼ぶ声は「アーバイ/\」と聞こえるが、あれは「アー評判え/\」というのが、「豆腐ーイ」が「えーうーい」になるような音便の変化によるものであるが、私共は銀座の家の二階でよくこの見世物ごっこをして、盛んに「アーバイ/\」とやったものである。  蓄音機が非常に珍しくまだ平円盤がなくて蝋管の時分、高いところへ蓄音機を据えてそのわきに端座し銭をとって今日のレシーバーの役目をする長いゴムの管を客の耳に貸し、佳境に至ると大声をあげて「コライ」とはやし、他の客のきき慾をそそっていた男があった。如何にも道楽者らしい年配の顔の長い男であったが、何という事なしに私はこの男がきらいであった。しかしこれも今はなつかしい。 「おバあさんが夜なべに絹針ときたら行灯の前で」とかなしげに唱えて、「親孝行のおみやげはこれが一番」と針のめど通しをうる男や、「オランダのコッペイ散、やわ/\のぐい/\、ぐい/\のやわ/\」などという珍なものもあるが夜店ばなしはこれ位にして、今度は、今日の銀座を歩きながら、新を語り、旧を思ってみる事としよう。 紫 デリヘル別府-大分風俗.COM

   


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