「ところで、そのブラーエが、オッチリーユからの刺者であることが判ると、そこで、彼の本体を闡明する必要があると思う。それが、二重の裏切なんだ。旧教徒と対抗して比較的猶太人に穏かだったグスタフス王を暗殺したのは、新教徒から受けた恩恵と、彼の種族に対するとの両様の意味で、二重の裏切じゃないか。つまり、ハートの史本にはないけれども、プロシア王フレデリック二世の伝記者ダヴァは、軽騎兵ブラーエを、プロック生れの波蘭猶太人だと曝いている。そして、その本名が、ルリエ・クロフマク・クリヴォフなんだ!」 その瞬間、あらゆるものが静止したように思われた。ついに、仮面が剥がれて、この狂気芝居は終ったのだ。常に審美性を忘れない法水の捜査法が、ここにもまた、火術初期の宗教戦争で飾り立てた、華麗きわまりない終局を作り上げたのだった。しかし、検事は未だに半信半疑の面持で、莨を口から放したまま茫然と法水の顔を瞶めている。それに法水は、皮肉に微笑みながらも、ハートの史本を繰りその頁を検事に突き付けた。 (グスタフス王の歿後、ワイマール侯ウイルヘルムの先鋒銃兵ホイエルスヴェルダに現われるに及び、初めて彼が、シレジアに野心ある事明らかとなれり) 看護師求人ランキング 看護師(求人・募集)西宮【笹生病院看護部公式サイト】
|