法王の遺産処分
次に法王の財産は、法王が一人お薨れになるとその遺産の半分――半分というは表向きで実は半ば以上――は法王出身地の血族の者が大抵貰うことにきまって居る。その後の金は諸大寺の僧侶及び新派の僧侶等に「ゲ」として与えられるです。 ついでに言うて置きますことは、普通の僧侶の遺産で例えば五千円の資産ある者が死ぬと、大抵四千円までは僧侶の「ゲ」及び燈明代に供えて、他の一千円をもってその人の死骸を送り、あるいは跡始末を付けるという位のもので、その弟子達の受けるのは僅かに三百円か五百円あれば余程よい方である。事によると弟子が借金してでも、その師匠の功徳の為に「ゲ」及び燈明代を供えるという美風がある。これは俗人社会においては全く見ることは出来んけれども、僧侶社会には普通の事で実によき習慣であると考えるです。 医師 求人サイト
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