敏ちやんは性來の臆病から、それに隣りがあまり隔つてゐるので一人で遊びによう出ません。同じ年配の子供達が向うの田圃や磧で遊んでゐるのを見ると、堪へきれなくなつて涙を流します。時偶仲間が遣つて來ると小踊して歡び、仲間に歸られてはと、ご飯も食べないのです。歸ると言はれると、ではお菓子を呉れてあげるから、どれ繪本を呉れてあげるからと手を替へ品を替へて機嫌をとります。いよいよかなはなくなると、わたくしや嫂さまに引留方を哀願に來ます。それにしても夕方になれば致し方がない。高い屋敷の庭先から黄昏に消えて行く友達のうしろ姿を見送ると、しくり/\泣いて家の中に駈け込みます。そしてお父さまの膝に乘つかると、そのまま夕飯も食べない先に眠つてしまひます。臺所の圍爐裡に榾柮を燻べて家ぢゆうの者は夜を更かします。お父さまは敏ちやんの寢顏を打戍り乍ら仰有います「圭一郎に瓜二つぢや喃」とか「燒野の雉子、夜の鶴――圭一郎は子供の可愛いといふことを知らんのぢやらうか」とか。 先月の二十一日は御大師樣の命日でした。村の老若は丘を越え橋を渡り三々五々にうち伴れてお菓子やお赤飯のお接待を貰つて歩きます。わたくしも敏雄をつれてお接待を頂戴して歩きました。明神下の畦徑を提籃さげた敏雄の手を扶いて歩いてゐると、お隣の金さん夫婦がよち/\歩む子供を中にして川邊りの往還を通つてゐるのが見えました。高級デリヘル 六本木
|